「今日はうに、食いに行かないか?」
……和真さんに見つからないようにしたいけれど、彼はいつも通り通常運転だから……隠すのは難しい。
「その……今日は、やめませんか?」
「何で。うに、嫌か?」
「あ、いや、食べたくないわけではないんですけど……最近、太ってしまって……美味しいもの、いっぱい食べてるので、せっかく買ってもらったワンピースが着られなくなってしまうのは嫌なので……」
「ふぅん……俺の迎えを断ったのはこれか?」
「……仕事も、ちゃんとした、理由ですけど……」
大学終わりに迎えに来てくれていたけれど、私はそれを断った。こんなところにいるなら仕事をしてくださいと。今回はめげずに強く言ったから折れてくれたけれど。
けれど……ジト目をしてくる彼の顔が、見られない……きっと不機嫌にさせてしまっただろうな。もう彼の頭の中はうにだろうし。
どうしよう、と思っていたその瞬間。いきなり浮遊感が襲ってきた。
「ん~、重くないぞ?」
「えっ!?」
いきなり彼の顔が近づいてきたかと思ったら、私、横抱きされてませんか……!?
待って待って待って!? ちょっと待って!?
「よし、うに食いに行くぞ」
「かっ和真さんっ……!!」
「何」
いや、何じゃな……顔近い近い近いってぇ!!
「お、ろしてくださぃ……」
「恥ずかしがり屋め」
じゃなくてっ!!
この人は無意識!? 無意識でやってるの!?
はいはい、と降ろしてくれたけれど……どくどくと心臓が速くて顔が熱い……
「うっうにはご褒美!! マイナス7キロ痩せたらご褒美にくださいっ!!」
「……」
「お、ねがいします……!」
こ、ここは絶対に譲らない……また和真さんの知り合いに会って、冬真さん達とバッタリ会った時のようなことになったら最悪だもんっ!! ちゃんと出来るようになってからじゃなきゃダメ!! 絶対駄目っ!!
「……はぁ、しょうがないな。なら、さっさと痩せろよ、俺の為にも」
うっ……俺の為にも、がだいぶ強調された……これは、早く身に付けないとやばいやつだ……頑張ります。
よし、ご褒美はうに、そう、うに。きっと美味しいうにが食べられるお店に連れてってくれる。そう、頑張れば美味しいうにが食べられる。なら頑張らなきゃ……!



