そして、連れてきてくれたのは……昨日のような格式高いお店ではなくカジュアルなカフェのようなお店だった。けれど、また個室だった。最近個室が多いな。
「ちょっと頭の痛い話をするからね」
「なるほど……」
頭の痛い話、とは……昨日の事だろうか。だって、彼の婚約者である泉谷さんが昨日私に紅茶をかけちゃったんだし……
私にとっても、頭の痛い話なのかな。
そんな事を思いつつ、注文を。ここはパンケーキが人気らしく、いちごと生クリームのパンケーキを選んだ。冬真さんはパスタ。そして、カフェラテを選んだ私に対して、彼はブラックコーヒーを選んだ。あの日のように。
ブラックコーヒーを飲めるなんて大人だな。……そういえば、和真さんがブラックコーヒーを飲むところは見たことないな。飲めるのかな。いや、それを考えたことに気が付かれたら怒られるだろうな。子供じゃない、って。
「瑠香ちゃん、昨日はごめんね、麗子が火傷をさせてしまって」
「あ、いえ、火傷も大したこと、なかったので……大丈夫です」
「それでも、申し訳なかった。これは僕達三人の問題だったんだ。だから、和真の妻になってくれた君を巻き込むつもりはなかった。ごめんね」
紅茶はそんなに熱いわけではなかったから、そんなにひどい火傷というわけではなかった。小夜子さんにはだいぶ心配されてしまったし、小夜子さん伝いで和真さんには、今日大学に行く時は気を付けるようだいぶ念押しされた。
「実は、麗子と僕達兄弟は色々あってね。その……僕の婚約者になる時にも一悶着あったんだ。麗子は大企業の会社の社長令嬢。僕達の父はその会社と繋がりが欲しかったらしいんだけど……結婚するとなると、世間的にも長男の僕が最適だから当然僕が選ばれた」
な、なるほど……兄弟というのにも色々とあるのね……
「でも……麗子は僕じゃなくて和真を選びたかったらしいんだ」
「えっ」
「泉谷社長は厳しい人だったからそちらが丸め込んで僕の婚約者になったんだけれど……このありさまだからね。これ以上は僕も黙っていないし、父の耳にも入れば腰を上げるだろう。だから、麗子に関してはどうにかするから安心して」
「わ、かりました……」
な、るほど……いろいろと、あったんだ……お金持ちに生まれた使命、というやつ? お、お疲れ様です……
でも、麗子さんは和真さんと結婚したかったんだ……確かに、婚約者の冬真さんより和真さんの方が馴れ馴れしかった。しかも、同じ高層マンションに住んでいたし。



