泉谷さんとお茶をして次の日。私は大学の講義に出かけた。和真さんは、家にいなかった。朝早く会社に行ったらしく、朝食は私と小夜子さんの二人だけ。
小夜子さんからは、最近忙しくなってきているらしいと教えてもらった。リモートワークを推奨している会社、って言っていたけれど……やっぱり会社に行かなきゃ出来ない事もあると思う。
今日は午前中だけ講義が入っているから、講義が終わった後にスーパーに寄って買い物をして、小夜子さんとお昼ご飯を食べてと夕ご飯の準備をしなくちゃ。
あ、トイレットペーパーも買ってこなきゃ。なかったよね? あと、食器用洗剤も買っておいた方がいいかな。がさばるものとか、重いものは私が代わりに買って行かないと、小夜子さんが大変だ。
「あの、さ、瑠香ちゃん」
「ん?」
そして、講義中。一緒に受けていた七瀬さんが、気まずそうに私に声をかけた。
「今日、この後何かある?」
「ん~……ない、かな。遅くならなければ」
お昼ご飯は、伝えれば大丈夫。買い物も遅くならなければ大丈夫かな。
「そっか……じゃあ、さ。お昼ご飯、どう?」
「うん、大丈夫」
「そ、っか。よかった」
……この、ぎこちなさは何だろう。何となく、嫌な予感がするのだが。
そして、その嫌な予感は大体70%の確率で当たる。
「お疲れ様、瑠香ちゃん」
「あ、はい、お疲れさま、です……」
どうして、校門前で……冬真さんが私達を待っていたのだろうか。
「あの、本当にごめんね瑠香ちゃん。騙すつもりじゃなかったの。頼まれちゃって……で、私これから用事があるので、ここで、失礼しますっ」
そう言いつつ、冬真さんの車の隣に駐車されていた車にいそいそと乗りこみ、帰ってしまった。
あの、私残して帰らないでもらっていいですか。
「ごめんね、騙すような事して。でも、連絡先も知らないし和真に言ったら絶対に断られるだろうからと思って凜華に頼んだんだ。ごめんね」
「あ、いえ、その、大丈夫です」
「そう? よかった。じゃあ、一緒にお昼ご飯を食べながら話がしたいんだけど、どうかな」
……大丈夫、だよね。泉谷さんじゃないし。
その後、もちろん浮気をさせるつもりはないから後で和真に連絡は入れる、と言ってくれた。なら、大丈夫だよね。
「分かりました」
「うん、ありがとう。じゃあ行こうか」
冬真さんは、車の助手席を開けてくれた。つい昨日家に戻った時の事を思い出してしまいためらいそうになったけれど、和真さんには後で伝えれば大丈夫だよね。
話、するだけだし。



