メシ友婚のはずなのに、溺愛されてるのですが!?


 よれよれの、あまりその場にふさわしくない服で来てしまった。

 この煌びやかなホテルに、私が入っていいのだろうかと帰りたくなってしまった。でも今更ではある。

 この最上階に、今日のお見合いの会場となっているレストランがあるらしい。

 意を決してホテルの中に入ったけど、人が多いし広いしで全くよく分からない。

 キョロキョロと見回していたら、ここのホテルのスタッフなのだろうか、男性が私に声をかけてくれた。誰かと待ち合わせをしているのかと思ったらしい、どなたかをお探しですか、と聞かれ、何とかレストランに行く旨を伝えられた。


「ご案内します」


 そしてエレベーターまで案内してもらい、一緒に乗ることに。ありがたいけれど……恥ずかしい。

 こんなところに行くのに最適な服を持っていないから、余所行きにとっておいたこのワンピースを選んだんだけど……古着屋で買ったものだし、ヨレヨレだし、地味だし。きっとこのスタッフさんもどうしてこんな人がこんな所に? と思っているのかもしれない。

 チン、という音と共に、エレベーターが止まり、扉が開いた。エレベーターを出てから、誰かと待ち合わせかと聞かれ豊峰さんに教えてもらったお見合い相手の名前を出すと、ここのレストランのスタッフにそう伝えてくれた。

 このホテルのスタッフさんたちは優秀みたい。小心者の私がちょっとしか話さなかったのにすぐに対応してくれて、レストランスタッフと交代し案内してくれた。

 周りは談話をしつつ食事を楽しんでいるように見える。私に視線を向けているようには見えないけれど、きっと視界には入っている。そして、こんな格好の場違いな私を見てどう思うだろう。

 ……さっさと断ってさっさと帰ろう。