メシ友婚のはずなのに、溺愛されてるのですが!?


 そして、近くのお店に四人で入った。


「あらまぁ、とても素敵な婚約指輪ね~! ダイヤモンドかしら? こんなに素敵な指輪貰えてよかったわね、瑠香?」


 もっとよく見せて、と私の手を掴み左手の薬指にある結婚指輪をジロジロと見てくる。

 そんな時、結婚指輪を親指と人差し指で持ち……抜こうとしていた。咄嗟に指を曲げ防いだけれど「瑠香」と呼ばれる。もっとよく見せろということなんだけど……抜きたくないという気持ちが、指をまっすぐに伸ばすのを止める。


「瑠香、釜飯美味しいぞ」


 けれど、隣に座る和真さんが顔を近づけてくる。それに驚いてしまったけれど、手を掴み引っ込めてくれた。

 その行動に、叔母も驚いたのか、手を離しては「そうよね」と食べ始めてくれた。

 けれど……一花の視線が、鋭く痛い。一体、何を考えているのだろう。

 指輪の事は諦めたらしいけれど、食べている最中にも叔母は得意げに話し口が止まることを知らず。


「瑠香は私の姉の娘だから私は叔母なの。瑠香が小さい頃に姉夫婦が交通事故で亡くなってしまって、その時私達が瑠香を引き取ったのだけれど……今はもう私達のもう一人の娘のようなものね。当時からずっと瑠香はとてもお利口さんだったから――」


 和真さんに、そんな話を得意げに話しては口が止まらない。

 そういうのは、和真さんには話した事がない。そもそも、知り合ってそんなに経っていないし。まぁ、私の事は調べたらしいから知ってるだろうけれど。

 けれど、私に聞かずぺらぺらと両親の事を勝手に喋るのは、やめてほしい。まぁ、そういう人だという事は知っていたけれど。

 しかも一花は……


「和真さんっておいくつなんですか? とってもスタイル良くてかっこいいんだもん、瑠香ちゃんが羨ましいわ」


 ぽ~、と彼に釘付けだ。相手は既婚者で、彼の奥さんが隣にいるはずなのに。一応、ではあるけれど。

 すごく、居心地が悪い……

 さっき……叔母は、私が釜飯が好きと言ったけれど、そうじゃない。そもそも、一緒に食べたことすらないのに。

 そして、一花はとんでもないことを言い出した。


「あぁそうそう、実は私達近くのホテルに予約しているの。もしよかったら二人もどう? 瑠香ちゃんとも久しぶりに会えたんだし、和真さんとは今日が初めましてだからもっと話したいわ。お母さん、いいよね?」

「えぇ、もちろんよ。じゃあそうしましょうか。私達の泊まるホテルは――」


 一花の提案に叔母が了承し、私達の意見すら聞かずにどんどん話が進んでいく。勝手すぎるな。

 けれど、一花は何か企んでいるような、私に何か言いたげな顔を向けてくる。ニコニコと機嫌のよさそうな様子ではあるけれど……何となく分かる。だって、小学校から高校までずっと一緒だったんだから。

 だから……叔母もだけれど、一花には会いたくなかった。