メシ友婚のはずなのに、溺愛されてるのですが!?


 昨日、和真さんは大学の校門前で私を待っていた。だから、当然見た人も少なからずいる。

 だから……


「ねぇ、昨日のあの人、誰よ」

「っ……」


 七瀬さんが用事で私と離れた時だった。待っていたかのように、すぐに豊峰さんが引きずるかのようにして裏庭に連れてきては、胸ぐらをつかんできた。


「ねぇ、誰だって聞いてんの。昨日帰りに迎えに来たあの男の人。あの車、高級車でしょ? って事は、金持ちでしょ。結構レベル高い人だったじゃん」

「ね~、結構イケメンだったよね」


 なるほど、和真さんの事を言ってるのか。という事は……あの日のお見合い相手の顔を知らないって事? イケメンだったって言ってるって事は、顔が見えなかったというわけでもなかったわけだし。

 ……というか、苦しいからこの手離してほしいんだけど……


「ねぇ、誰よ。貧乏なアンタにあんな友人がいるなんてありえないだろうし……もしかしてパパ活でもしてるの? お金ないもんね」

「え~パパ活!? よくあんな人捕まえられたね! どうせ汚い手でも使ったんでしょ!」


 いや、パパ活だなんてしてないし。汚い手って一体どんな手よ。


「ねぇ、あの人とまた会うの? 次に会うのいつ?」

「……」

「おい、聞いてるの分からない? 黙るなよ」


 どう答えるべきかと考えていると、気に障ったらしく頬を叩いてきた。痛いな……

 気が付くと、一人が私のバッグに手を伸ばしていた。ちょっと待って、勝手に……


「あったあった。えぇと……」


 取り出したのは、私の手帳。勝手に開くと……


「和真って人? へぇ~今日大学終わりに出かけるんだ。もうそろそろじゃん。迎え来てもらうんでしょ」

「ふ~ん。なら……代わりに私が行ってあげるよ。こう何回もパパ活してると疲れるでしょ? アンタは休んでいいよ」


 そう言いつつ、今度は……えっ。

 近くにあったドアを開けた一人は、私にニヤニヤと見てくる。そして、豊峰さんにその中に投げ入れられてしまった。しかも、スマホまで取られてしまう。


「ちょっ!!」

「じゃあね」


 そう言いつつ、ドアが閉められ……鍵をかけられる音も聞こえてきた。力を入れてドアを開けようとしても……開かない。

 はぁ……何でよりにもよって今日なのよ……