メシ友婚のはずなのに、溺愛されてるのですが!?

 高めの服と、ロリータ、どちらがいいかと言えば……こっちだな。どうせ、お金持ちの七瀬さんと行けばそのロリータも高級だろうし。


「彼女に見合った服を見せてくれ」

「かしこまりました」


 とりあえず、ワンピースにしてもらった。一枚で済むから。……と、思ったのにワンピースを5枚にされた。バッグに靴まで追加される始末。

 頭が、パンクしそう。

 でも考えろ、いきなりロリータ服を着せられるよりいい。あいつ強引に着せるぞと言われてしまえば、ね……

 そして、目的だったはずのチェーンも購入。本当はこれだけのはずだったのに……

 けれど、一体いくらになったのかは全く教えてもらえず。

 というか、聞く前に和真さんがブラックカードを出してしまい、聞けなかった。……さすがお金持ち。お金は惜しまない、というやつよね。


「腹減っただろ、行くか」

「……はい」


 もうすでに、お腹いっぱいな気がする。しかも、まさかもう着させられてしまうとは。汚さないよう気を付けないと、と思っても……ズワイガニ、大丈夫かな。



「ズ、ズワイガニ……!」

「どうだ? デカいだろ」

「は、はい……!」


 そして連れてきてくれたのは、高級和食店。メニューに書かれた値段は凄かったけれど、頼んでもらったズワイガニは……衝撃的だった。

 セルフにしてくれたらしく、どこから食べたらいいのか分からなかったけれど……


「ここを折ってみろ」

「えいっ……あっ!」

「ふっ……くくっ……」


 笑われはしたけれど、これは本当に感動的だった。だって、引っこ抜いたらちゃんと中身が足とくっついて出てきたんだもん!

 和真さんは、私が汚さないようにと結婚指輪を外してさっき買ってもらったチェーンに収めたことに不満を持っていたらしいけれど……それを無視しつつ食べたズワイガニは……衝撃的な味だった。

 かにかまじゃ、ない!


「お前、今失礼なこと考えてただろ」

「……あ、いえ、そんな事は……」

「ズワイガニに失礼だぞ」

「……」


 ……お見通し、ですか。

 すみませんでした、ズワイガニ様。


「そうだな、牡蠣も食うか?」

「か、き……!?」


 えっ、牡蠣? 牡蠣食べていいの……!? 牡蠣って、あの貝のやつよね。


「た、食べていいんですか……!?」

「遠慮するな。牡蠣は栄養たっぷりで風邪予防になるからな。せっかく来たんだから食べるに限るだろ」


 生もあるらしいけれど、ちょっと怖いから火を通した焼き牡蠣や蒸し牡蠣を堪能したのだった。

 し、幸せすぎた……


「あの、ごちそうさまでした、ありがとうございました……!」

「満足出来たならそれでいい。また来るか?」

「えっ」


 あ、いや、また連れてきてもらえるなら嬉しいけれど……お金とか、あるし……

 そう思ってしまった私を悟ったらしい。ジト目で見てくるから……頷いてしまった。

 でも、和真さんは終始楽しそうな様子だったし……良かったのかな。まぁ、楽しい食事が出来るのは幸せな事だし。

 ごちそうさまでした。