そして、電話中だった七瀬さんも戻り、ぺろりと鴨鍋を平らげてしまった。美味しかった……鴨肉って他のお肉と全然違かった……しかも汁まで美味しかった。出汁が出てたって事だよね。美味しかった……
ご飯の前にお風呂を借りてお洋服まで借りたから、乾いた私の服に着替えた。お待たせしました。
「じゃあ、こいつ俺送ってく」
「……手、出さないでね」
「はぁ? んなわけないだろ。お前は俺を何だと思ってるんだよ」
……やっぱりこの二人はとても仲良しだと思う。でも、七瀬さんの趣味は一体何だろう。彼が嫌がるようなものよね。気になるけれど、聞いちゃいけないような気もする。
「俺んち行くぞ」
「えっ」
「ん? 自宅にプリンターがあるから、好きな婚姻届ダウンロードして記入するぞ」
……なるほど、役場から貰うとかそういうのじゃないのね。あとは、雑誌とか? 今はそういう時代なのね。まぁ、私はあまり知らないからお任せしよう。
「あとは……指輪、サイズはどうだった?」
「……まだ手すら付けてません」
「なら、好きなものを選びに行くか。あれは適当に俺が選んだやつだしな」
「……いえ、あれでお願いします」
ちゃんと結婚するわけではないし、そこまでお金をかけなくても……あ、いや、確かに結婚ではあるんだけれど……期間とかあるわけだし……
にしても、この人運転姿カッコいいな。イケメンは何しても様になるという事か。



