なぁんで私は……
「おい、最初は鴨だろ、鴨」
「女の子は野菜ファーストなのよ。男と一緒にしないでちょうだい。ほ~らた~んとお食べ瑠香ちゃん♡」
「あ?」
「何よ、これ用意したの私よ? ちゃんといっぱい用意したんだから、感謝してほしいわ」
お二人と、鍋を囲んでるのかしら。しかも、高層マンションの、七瀬さんのお家で、彼女のお洋服を借りて。
しかも、私の取り皿には山盛りのお肉とお野菜が。もちろん、これを取ったのは私じゃない。一緒に鍋を囲んでいるお二人だ。
もしかして、と思ったら……私は言葉を失った。やっぱり、七瀬さんもお金持ちだったった。お金持ちさん達に囲まれるなんて、私どうしたらいいの……?
「……やっぱり、食欲ない?」
「ないなら俺食うぞ」
「和真は黙ってて」
七瀬さんは、きっと豊峰さん達に水をかけられてしまったのが原因で食欲がないと思っているんでしょうね。たぶん、お二人は本当の理由は分からないだろうなぁ、はは。……うん、美味しい。これが鴨か……
「鴨、美味いか?」
「あ、はい、美味しいです」
ちゃんと答えたはず、なんだけど……どうして、また眉間にしわを寄せてるんだろう……?
もしかして、今朝の事について? 書類にサインしなかったし、更には頬っぺた叩いたから怒ってらっしゃる?。
後が、怖い……



