あの後、急いで大学に向かった。
けれど思ったとおり、また同じ大学の裏庭に呼び出された。豊峰さんたちに。
「今朝パパに怒られちゃったぁ。何で断ったんだって。も~パパったら朝からカンカンだったよ~」
「……」
「まぁ、私が行ってないことがバレたみたいじゃなかったし、別にいいけどさ。どう? 楽しかったでしょ?」
私は言われたとおりにちゃんと断った。食事もしたけれど……さすがに楽しく食事しましたとは口が裂けても言えない。
「おーい、口ついてんならなんかしゃべりなよ」
「なに、立ちながら寝てんの?」
「じゃあ起こしてあげなきゃね」
そう言い終わった時にはもう遅かった。一人がバッグからペットボトルを出していたらしい、口を開けて豊峰さんに渡し……途端、冷たい何かが頭上から落ちてきた。これは……
全部かけられたのか、空っぽになったペットボトルを顔に投げつけられる。匂いからして……あぁ、水でよかった。何かのジュースだったら大変だから。
「はぁ、アンタ最近つまんない」
そう言いつつ、髪を掴まれ頬を叩かれた。行こ、そう言ってその場を後にして。
よかった、これだけで済んで。
でも、困ったな。全身びしょびしょ。とはいえ、500mlのペットボトル一本分だからセーフ。ここで1Lのペットボトルでも出されたら大変な事になっていた。高校でもこういうのあったけれど、あの時みたいに水道につないだホースではないから本当に良かった。
バッグは地面に落としてたから濡れてない。よかった。
「……はぁ」
そんな深いため息を吐きつつ、バッグからタオルを出し顔を丁寧に拭いた。さて、どうしたものか。この服が乾くまでここにいる? 幸い今日はこの後予定は何もないから別にいいんだけど……



