涙を包むラベンダー(リメイク)

<発車、5分前>

逢月姫
(私、何してるの?さっきの言葉、早く取り消さないと…。)

私は、謙虚で奥ゆかしい彼を好きになったはず。

失恋の悪魔から『いい人止まりで物足りない男』と何度言われようと、彼の魅力を見失わなかったはず。

彼の出発まで、あと5分。




『……逢月姫が出した答えなら、僕は尊重するよ。』



重い沈黙を破り、彼が口を開いた。

彼はこの5分間で精一杯、私を傷つけない言葉を選んでくれたんだろう。

逢月姫
(待って!さっきの言葉は本心じゃない!別れたかったわけじゃないの!)

私の心は懸命にそう叫んでいたのに、口からは一言も出てこなかった。