涙を包むラベンダー(リメイク)

『ー只今より▲行き列車の改札をー』



雨音のすき間から、駅のアナウンスが流れた。

私と彼との間には、沈黙が漂っていた。

彼はあまりに唐突な私の言葉に、事態を飲み込めていなかった。

その原因を作った私は、全身が凍りついて動けなかった。

私は去年、彼の昇進が決まった時に『束縛や試し行為は、相手を信じていない証拠』と自分に言い聞かせた。

なのに、私は別れをほのめかして、彼を”試すようなマネ”をしてしまった。



私はこの日だけ”お守り”を身につけていなかった。

いつかの私の誕生日に、彼からもらったエメラルドのペンダント。

普段は肌身離さずつけているのに、なぜこの日だけ忘れてしまったんだろう?

それすらも失恋の悪魔の力?

『もっといいオスを求めなさい』と、私の”(オンナ)”の部分を突き刺す悪魔の…?