ピシャンと無情にドアが閉まる。
埃っぽい室内に響くゆったりとした靴音は、終わりへのカウントダウンみたいだ。
景色の揺れがピタリと止まる。
外のガラスに雨が滴る窓際に、ドサリと降ろされた。
座り込む私と視線を合わせるように、男が目の前にしゃがみ込む。
染めてるだろうに、あまりに自然なブロンド髪。
目にかかる前髪が妖艶な眼光をチラつかせて、思わずドキンと胸が鳴る。
崩れたネクタイと開いた襟元から見える骨ばった素肌が異常なほど色っぽくて、恐怖でごくりと唾を飲んだ。
後退りしようとすると、背中がすぐに壁にぶつかり行き止まり。
――逃げ場がない。
背につく壁の冷たさが、ひやりと緊張感を煽った。



