ざわめく廊下を、私はただ揺られながら運ばれている。


そこにいる人達は今の私の状況をギョッとして見るのに、すぐ顔を背けて気まずそうにする。

「……うわ、何したんだよあの子……。」

「可哀想に…ヤられるな、あれ。」

途切れ途切れに聞こえてくる囁きに、心拍が乱高下する。

この後のことを予想して、サーッと顔から血の気が引いていく。


なのに、私を米俵みたいに担ぐ男は、周りを一切気にすることなく上機嫌で鼻歌混じりに歩いている。


「あの、降ろし……」

ギラリ。
声を上げた瞬間に圧のある視線がこちらを向く。
鼻歌もピタリと止んだ。


「……てはくれませんよね!あはは……」


自分の身一つ守れないなんて、情けない。


密着したところから一応体温は伝わってくるけど、私の脚を抱える手は異常に冷たい。


そうこうしている間に、見える景色からどんどん人気がなくなっていく。

ついに完全に誰もいなくなったところで、男の足が校舎の1番奥の空き教室の中に向かった。