ハニートラップ


***

珠桜達がお手洗いに行ってる間、俊平と久哉は土産物屋を覗いていた。

呑気に半目の黄色いウサギの様なマスコットのキーホルダーを物色する俊平を、久哉は冷ややかに見ている。

「……それ、彼女にあげるの?」

俊平が手にしている物を指差す。
幸せそうな姿がムカついて、ちょっと揶揄ってやろうと思った。

なのに。

「いや、これは珠桜に。」

その名前を聞いた途端、久哉の眉がピクリと動く。
我慢していたものが、またチリチリと燃え始める。

「これアイツが好きなキャラ。
今日は助けてもらっちゃったからさー。」


――何も知らないクセに。


手の平に置かれたキーホルダーを奪い取る。
ぽかんとしている俊平に、久哉は鋭く凄んだ。

「そうやって無駄に珠桜のこと揺さぶるの、やめてくれない?」

「は?」

本気でわかっていない顔。だから余計に腹が立つ。

――コイツに当たったところで、無駄。

深い溜め息を吐いて冷静さを取り戻した。

「……いーよもう。“終わらせた”から。」

キラキラとした照明がやたらと眩しくて、小さく舌打ちをした。