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いくつかアトラクションに乗ったけど、
高峰くんは、そのどれもでリアクションが薄い。
周りや私がはしゃいだり叫んだりしていても、ただニコニコしているだけ。
「……楽しい?高峰くん。」
「――うん、楽しいよ?」
レールを走る金属音も、楽しそうな笑い声も、高峰くんにはどこか遠いところにあるみたいだった。
「珠桜!次、アレ乗ろうぜ!」
ハイになって緊張感をなくした俊平が、はしゃぎながら私を手招きする。
そんな俊平の隣に駆け寄って、小声で釘を刺した。
「ちょっと俊平!今日の趣旨忘れてない!?」
「……あっ。やべ、珠桜がいるとつい家感が出るわ。」
「もう、しっかりしてよ!」
戯れているような私と俊平の後ろ姿を、高峰くんは無表情で眺めている。
強い負の感情を近くで察知した星野さんは、怯えた顔で目を合わせないようにしていた。
「アンタはムカつかないの?アレ。」
久哉が珠桜の達の方を顎でしゃくる。
千歳は顔を強張らせながら、目の前の男を刺激しないように慎重に言葉を選んだ。
「……私は別に…。幼馴染だって聞いてるから……」
でも何もないって言い切れないだろ。
久哉の口まで来てた苛立ちを飲み込む。
1度も自分に向いたことのない、珠桜の明るい笑顔が痛い。
明るく華やかな空間が、色を失ったように見えた。



