放課後。
帰っていく生徒たちの流れに逆らって、私は1人いつかの空き教室にいる。
呼び出されたわけではない。
他に1人になれそうな場所を、思いつかなかったから。
錆び付いた錠を開けて、窓から風を入れてみる。
後ろで埃が舞ったけど、停滞する空気が動いたのは心地よかった。
――今日、俊平は星野さんに告白する。
ガチガチに緊張して挙動がおかしかった朝を思い出して、苦笑。
俊平の情けない姿を見られるのは、私の特権……だよね?
ズルズルとその場にしゃがんで蹲る。
単調な時計の音が、悲しい気持ちを加速させた。
『おれがずっと、珠桜のそばにいるから!』
弟が生まれて両親がかかりきりになった時に、俊平に言われた言葉。
高峰くんには教えなかった恋の決定打。
7歳の夏の日のことだった。
「嘘つき……。」
言ったって、もう仕方ないけど。
ガラリとドアが開く音がする。
近づいてくる足音で、誰が来たのかわかってしまった。
「泣いてるの?
――呼水さん。」
胸に響く、高峰くんの中低音。
何も答えない私の隣に、静かに腰を降ろす気配がした。



