ハニートラップ

その日の朝から、高峰くんからの連絡は全部無視することにした。

バラされたって別にいい。
言ったところで、俊平は何にも気にしない。
――というか、信じない気がする。


(最初からこうすればよかった。)


突き抜ける真夏の空は青い。
スッと心は軽くなったのに、ぽっかり穴が空いているみたいだった。


「なぁ、珠桜〜……どこがいいと思う!?」

学校帰り。
一緒に立ち寄った書店で、近場のお出かけ雑誌を立ち読みしながら俊平が困った顔で騒いでいる。

「そんなのわからないよ。
……私だってデートしたことないし。」

高峰くんの連絡を無視してから、もう2週間が経った。
数日は鬼の様にメッセージが来てたけど、途中でぱたりと来なくなった。

俊平を教室に迎えにいく時も、遠くの席から私を鋭く睨むだけ。

もう飽きたのだろう。女遊び激しいって噂だったし。