「“また”片桐くん?」
友達のミナとマキの元へ戻ると、ニヤニヤ顔で意味深な視線を送られる。
だから私は、煩わしがって眉を顰めた。
「仲良いよね〜。
いいなぁ。まだ付き合わないの?」
「もー、やめてよ!
毎回言うけど、私と俊平はただの幼馴染だよ?」
なんとも思ってないフリは得意。
約10年間、ずっとそうやって隠してきた。
「近すぎて、逆に恋にならないから!」
平気な顔して嘘をつく。
まぁ半分は、本当なのだけど。
私、呼水 珠桜と片桐 俊平は家が隣同士の幼馴染。
だから、赤ちゃんの時からずーっと一緒。
近すぎて、もう家族みたいで。
俊平は、私を異性として見ていない。
だから内緒。ずっと秘密。
俊平の1番近くにいられれば、私はもう、それでいい。



