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珠桜と千歳がいなくなった部屋で、俊平と久哉は2人きりだった。
「なんか、久哉がウチにいるって変な感じだなー。」
言いながら、俊平はベッドにドサリと腰掛ける。
その背景には、女物のカーテンが透ける窓。
久哉の関心はここに来た時からずっとそれだった。
「あれって珠桜の部屋?」
真っ直ぐ指差す先を、俊平が振り返って見る。
そして、あっけらかんと頷いた。
「そうだけど?ベッタベタだよなぁ。
俺らの親が面白がって仕組んだの。」
「便利でいいけど」と俊平はけらけら笑う。
“そういう気持ち”は、この男にはきっと微塵もないんだろう。
部屋を移るくらいの感覚で行き来できてしまう、安易で残酷なガラス窓。
「……生まれた時から一緒にいれば、そりゃ家族にもなるよねぇ。」
皮肉ってせせら笑う久哉の目に光はない。
人の気配が動く向こう側を、ただじっと見つめていた。



