ハニートラップ


「……どうぞ。」

私の部屋に、今日会ったばかりの女の子を引き入れる。

「……ありがとうございます。」


鈴が鳴る囁くような声。
同じ制服を着ているから、一緒の学校か。


アッシュ系の落ち着いた髪は、ほっそりとした肩口でふわりと揺れる。

守ってあげたくなる様な、可愛い女の子。
――俊平もきっと、そう思ったんだ。



(ロングヘアのキレイなお姉さんが好みって言ってたじゃん。)



冷えた麦茶を渡しながら、ギシ、と軋む胸に唇を噛む。


「……お名前は?」

「……星野 千歳(ほしの ちとせ)、です。」

「……クラスは?」

「……1年1組……。」

「よかった、同じ学年だ。」


なにが“よかった”なのか。

気まずい沈黙を埋めるために、冷たい麦茶を喉に流した。