「そんなことより誰?その子。
幼馴染の珠桜ちゃんに、彼女自慢でもしたかったの?」
所在なさげに小さくなって座っている女の子を、高峰くんは冷たく見下ろす。
下げた手は離れはしなくて、その感覚のおかげで意識を保てた。
「違うわ!変な奴に絡まれてたトコを助けたんだよ!」
俊平が顔を顰めて、口を思い切り引き下げる。
……恥ずかしがっている時の俊平の癖。
ずっと眉尻を垂らして目を伏せている、線の細い女の子。
私が引き出したことのない顔を俊平にさせたのは、この子だ。
「助けたっても逃げてきただけだから、まだそこら辺にいるかもしれなくて帰せなくて……」
積み上げてきたものが、ガラガラと音を立てて崩れていく。
「だから、珠桜。この子預かってくれない?」
初めて見た俊平の男の子の顔。
照れくさそうに揺らぐ目。
「……ヤローの部屋に、いつまでもいさせるわけにいかないだろ?」
その言葉に、打ちのめされる。
「……うん、わかった。」
それでも笑って頷く私を、高峰くんは静かに見ていた。



