キュン、と体が勝手に体温を上げる。
ゆっくりと顔を離した高峰くんが、柔らかく微笑んだ。
「連絡先教えてよ。呼水さん。」
顎を掴む手をぱっと離して、今度は熱が引かない頬を撫でる。
バグった脳はずっと優しさを受信し続けているのに、次いだ言葉は悪魔だった。
「このこと、俊平にバラされたくないでしょ?」
ヒビだらけの心が粉々に砕かれる。
指先まで血が巡っていないような気がして、ちゃんと機能しているか確かめるように指が動いた。
重ね合わせたスマホから、私の日常が吸い取られる。
高峰くんは満足そうに自分のスマホを口元に当てて、ようやく一歩離れてくれた。
「――じゃ。呼んだらすぐ来てね?呼水さん。」
私の髪を一束掬って、主従をわからせるように軽く引っ張る。
心臓がギュッと痛いくらい狭くなった。
打ちのめされたように、夕暮れの中立ち尽くす。
高峰くんは、くるりと後ろを向いて来た道をゆったりと戻っていった。



