「珠桜、と久哉?お前ら、一体どういう……」
俊平が固い動きで私達のことを指差す。
「――“久哉”?」
俊平の親しげな呼び方に私の顔も強張る。
緊張感が漂うこの場で、余裕顔はただ1人。
「そ、俺達クラスメイトなの。」
高峰久哉がギュッと私に頬を寄せる。
丸くなっていた俊平の目が、更に大きく見開いた。
その顔を見て、時が止まる。
違う男に抱き締められている状況を見られてしまったことに今更気付いて、ヒュッと全身が冷たくなった。
「ち、違うの!俊平、これは――!」
「見ればわかるでしょ?」
ブロンドの前髪から覗く、挑発的な目がギラリと俊平を睨む。
ギュッと私を抱き締める腕の力が強まって、なのに擦り寄せる頬の熱は優しかった。
「――そういうことだから。
今日珠桜と一緒に帰るのは遠慮してくれる?
“幼馴染の”俊平くん?」
――なんでそんなこと言うの。
“終わった”、と心の奥で声がした。
明るい髪色に負けないくらい顔を真っ赤にした俊平が、余裕なさげに何度も頷く。
放心する私を抱きしめながら、高峰久哉は満足そうに笑みを深めた。



