夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー


 元はと言えば、俺の一目惚れだった。



 母さんは人付き合いが上手くて、見目もいい。

 密かに男たちの話題にのぼる、サークル内のマドンナ的存在だった。

 
 今の恋人と別れても、1か月経てば他の男と付き合っている。

 
 俺には入る隙がなかった。

 それくらいの、高嶺の花だった。


 
 まだ早い、まだ怖いと足踏みしているうちに、誰かに奪われていた。



 奪われて、根気強く惚気話を聞いて。

 卒業した後も上司の話を聞いて、新しい男との惚気話を聞いて。




 耐えて耐えて耐えて耐え続けて。