夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー


 駄目だ。

 そう頭では分かっているのに。


 ぶんぶんと、その味を忘れられるように、力強く首を振る。



 それでも、………消えてくれない。


 こんなのいらない。

 他人の悪夢を美味しく感じる力なんて、いらない。




 心がそう叫ぶのに。

 
 歓喜で震える右手が、途轍もなく魅惑的なものに見えて。




 とん、と思わず指先で唇に触れてしまう。

 
 ぞくり。
 


 全身に、雷が落ちたみたい。
 体中がこの感覚を求めている。
 

 悲しいくらいに、甘い。



 愛が。執着が。殺意すら。

 とんでもなく、美味しく感じてしまう。