夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー


 カツン、カツンと重りがぶつかり合う音だけが、場違いに響く。


 その音を聞いていると、次第に頭の中にあったものがはっきりとしてくる。



 小娘は至って真剣な顔で、俺の話を聞いている。それでも、手元は休むことなく組紐を組んでいた。
 


 その手にある糸は、黒、灰、茶の3色。

 全て、空中から取り出したものだ。


 今の俺の心の中のように、どんよりとした色をしている。


 少しくたびれていて、まさか殺意なんて衝動を抱えているようには決して見えなかった。
 
 
「自分が信じられなくなって、俺はここに来た」

 
 殺したいなんて、微塵も思えない。

 ヨボヨボになるまで生きて欲しい。


 でも。
 もしも、長年浮気されていたなら。