「なのに、……認知症になった母さんは、俺のことを他(・)の(・)男(・)の(・)名(・)前(・)で呼ぶんだ」 何かの間違いだ。 きっとそうだ。 息子も、その嫁も、孫も、生まれたばかりの2人目の孫も、はっきりと母さんは覚えているのに。 長い間母さんを見てきた俺だけが、どうして昔の恋人の名前でなければいけなかったんだ。 俺を旦那と認識したまま、名前だけは俺じゃない。 どうして俺なんだ。 そう思うと、気が狂いそうだった。