「新田さんは僕のお姫様だ」
窓の開いた廊下を大股で歩きながら、美風が言った。
「上野なんかに渡すもんか。」
体育館の重い大きな扉を開けると、中には誰も居なかった。
歩いていって体育館の真ん中に美風が座ったので、恋もその場にしゃがみ込んだ。
「演技は講堂でするんじゃなかったっけ?」
体育館を見回しながら恋が言った。
「舞台がないと映えないもんね。」
広い広い体育館。
高い高い天井。
「新田さんと一緒に居られるのが嬉しい。台詞ださいけど。演技するとか微妙だけど。舞台なんて興味ないけど。」
美風が口を開いた。
「ねえ新田さん」
美風が恋の手を取った。
「僕が王子様で良かったでしょ?」
チュ、と手のひらに落とされたキスに、恋は困惑顔をしている。
