学校から家に帰って、恋は宗介の家に行った。
リビングに入っていくと宗介はダイニングに立って恋と自分の分のお茶を淹れているところだった。
「学芸会の出し物、決まったね」
恋が呟くと、宗介が恋を睨んだ。
宗介は恋が美風のペアである姫役になったことを、まだ許しては居なかった。
「いい加減。お調子者って笑われて。それでも良いなんて。ちゃんときっぱり断らないのが悪いの。馬鹿なんだから。」
宗介は宣言した。
「言っとくけど、僕はお前たちが王子と姫だなんて認めない。」
「何で。」
恋が聞いた。
「樋山くんハマり役だよ。」
「……。」
大道具の係になった宗介は、作るお城の見本のパンフレットを今日貰ってきていた。
クラスメート達はインターネットで検索した『姫と王子の休日』の台本に沸き立っていたが、宗介はそれをちらりと一瞥しただけだった。
恋は、ダイニングの壁に寄りかかって、ため息をついた。
「姫役、なりたくなかったな」
「断れば良かったんだよ。ったくお人好し。そういう所がお前はいい加減なんだよ。」
「演技、どうやってやるんだろう」
「別に。知らない。適当にやれば?。」
宗介はぼすりとソファに座り込むと、不機嫌な顔でお茶を一口飲んだ。
