上履きのまま、美風が恋を連れて行ったところは教室の裏手だった。
足元には砂利が敷かれていて、そこはそこで日が当たっている。
美風は人がいないのを確認すると、普段と同じ声音で切り出した。
「一目惚れした。僕と、付き合ってください。」
恋は息を呑んだ。
「いきなりこう言うの緊張した。誰かを好きになったのキミが初めてで。どう言おうか考えてるんだけど。」
恋は、誰かと付き合うだなんて、想像した事がなかった。
恋は、びっくりした顔していたが、やがて困った顔をして、首を横に振った。
「ごめんね」
「ふーん。そっか。」
申し訳なさそうな恋に、美風は特に落胆した色もなく頷いた。
教室の裏には涼しい風が吹いている。
ちょっと肌寒いくらいだった。
美風の目が光った。
「新田さん。あのさ、」
美風が言った。
「考えてきたよ。呪符持ってるんだ。貼れば君は狐になる」
