休み時間。
恋がトイレに行っている間に、廊下の壁に寄りかかった宗介と美風は珍しく話をしていた。
「僕は女子たちに冷たくしてるから、ファンって言ってくる奴らが誤解する事はない。どう考えてもお前のせいだ。どうしてくれるんだよ。」
宗介が言った。
「僕は女子たちに意味なくつらく当たるのはどうかと思う。あの人達だって人間なんだから。上野は失礼なんだよ、マナーとして僕位が普通だろ。まさか新田さんに手を出そうとしてるなんて思わなかったけど。」
「恋に何かあったらどうするんだよ。お前のせいだぞ。」
「僕のファン達は可愛い子振るぶりっ子が多いから、そんなにとんでもないことはしないと思う。せいぜい呼び出して泣くくらいかな。それも迷惑だけど。ファン心理って異常。ファンからすると普通なのか。」
「悠長な事言ってんなよ。恋が何かされてからじゃ遅いんだ。」
「新田さんに手出しはさせない。新田さんに手を出すなら、女も男も関係ない。」
「新聞部が悪いんだ。黒白王子だって僕たちの事アイドルみたいに報道するから。今度加納先輩にはっきり言ってやる。」
「黒王子に白王子……ふざけてる。煽られる女子も女子だけど。脳なし。馬鹿みたい。僕がそう思ってる事報道されたら良いのに。」
宗介がため息をついた。
「ああ、僕は蹴るなり殴るなりしそうだ。女子でも。苛つきすぎて。恋に何かされたら。」
「僕は女の子には手をあげたくない。そんな事する奴下の下だ。……ちょっと待てよ、下手に殴ったりしたら逆に女子は喜ぶんじゃないか?お前の場合。まさか本気で殴るわけにも行かないんだから。」
宗介はうんざりした嫌な笑い顔をした。
「畜生。言えてる。嫌ってるって分かって貰えない。どうすりゃ良いんだ。」
