恋達が講堂に着くと、講堂では、黒白王子の公式グッズをめぐって戦争が起きていた。
「その涙のブロマイド、先に取ったの私よ!」
「ずるい!。先に来てたのは私の方なんだから!」
「そのあっかんべのブロマイド、高値で良いから私に売って!」
「いやん私が買うのよ!。買うって決めた!」
「はいはい並んで並んでー!。新聞部の限定販売です!」
「切ナイ恋の味、大人気だね。」
メガホンを持って歩き回る伊鞠を見ながら、講堂の舞台の袖口で、理央が呟いた。
「ただの写真なんでしょう。」
「ただのって言ったって、アイドルの写真だから。価値すごいよ。これだけ人気だと。」
「宗介の小さい頃の写真、持ってるんだけど売れるかな。」
「売らない方が良いよ。売ったら上野くん多分ゲンコツだよ。」
恋と理央が見ていると販売会はヒートアップしてきた。
「絶対私が買う!。黒王子の写真は全部私の物よ!」
「あっ酷い!。私のだったら!。取らないで!。」
「どさくさに紛れてなんか買わせない!。それ!私が買うのよ!。貰った!。」
「引っ張らないで!。離しなさいよ黒王子が伸びちゃうでしょ!」
お客の1人が舞台袖の恋にたまたま目を留めた。
「あ!姫だ!」
「この際姫でも良い。涙のブロマイド私達のどっちが買えるか姫決めてよ!」
「待って!。白王子のブロマイドもよ!」
「姫ー!切ナイ恋の味、誰が買わせて貰えるか決めてください!」
恋はおそれをなして舞台袖に引っ込んだ。
