幼なじみは狐の子。〜黒白王子の三角関係が始動する〜




 
 
 


 放課後。

 恋と宗介と美風と理央は、黒白王子の撮影会に向かうために教室でのろのろと支度をしていた。


「黒白王子の撮影会、グッズ販売会。上野くんも樋山くんも売れっ子だね。」


 鞄に荷物を入れながら理央が言った。
 理央は撮影会を面白がっていた。
 なんにでも興味を持つ理央は、自分もカメラを持って、今日は写真を撮る、と意気込んでいた。


「やってらんない。なーにが黒王子だ。反吐。」

「黒王子の黒はクールの黒で漆黒の黒、加納先輩が言ってたけど、意味はちょっと分からないよね」

「クールって黒別に関係ないし、漆黒も言いたいから言ってるだけ。ほんっと、頭来る。」

「白王子の白はなんだって言ってた?」

「えーっとね、ピュアの白で純白の白、って言ってたよ。ピュアが白なのはなんとなく分かるよね。樋山くんどう思う?」

「初めて聞いた。自分のピュアが強調されると頼りなくて情けない。容姿の事だけを言ってるんだろうけど。僕のピュアが白で上野のクールが黒か……ピュアよりはクールの方がましだな。ピュアって一体どこを言ってるんだ?」

「どっちにせよ僕らをからかって遊んでるんだ。女子達は馬鹿だから本気にしてるけど。ああ、面倒くさ」


 宗介が鞄を背負ってドアを開ける。
 宗介に続いて恋、美風、理央が教室を出る。


「でも、これって恋には思い出になると思わない?」

「何が?」

「付き合ってる彼氏と準彼がアイドルで、講堂貸し切って活動してるの。恋は姫で、私はその友達。」

「そんな思い出要らないよ。僕は一般人だ。アイドルなんかする気ない。」

「僕だって。新田さんを出しにされなければ行かなくて済むんだけど。あーあ、フラッシュ焚かれるのだるいな。」

「それだけの容姿って事だよ。良いじゃん良いじゃん。樋山くんも上野くんも自信持って!」


 理央が2人を励まして笑った。