幼なじみは狐の子。〜黒白王子の三角関係が始動する〜






 




 暗い講堂の舞台にテーブルが引き出され、そこへ宗介と美風が伊鞠に連れられてやってきた。

 テーブルの上には、伊鞠と桂香がデザインした黒白王子の公式グッズ。
 ブロマイドから筆箱から、山と積まれている。


「黒王子親衛隊は、ファンが苦手な黒王子を思いやってます」

 
 始めに並んでいた黒王子親衛隊のリーダーが言った。


「だから、黒王子にうちわパタパタのコールはありません。」

「黒王子、笑って!。応援してます!」

「黒王子、怒んないで!。いつもかっこいい!」

「いやん黒王子、こっち見て!。私だけを見て!」


 隊列を組んで声を掛ける親衛隊に、宗介は呆れ笑い。


「ファンが苦手な黒王子のために、グッズも加納さんと話して加納さんから買うことになりました。以上、黒王子親衛隊でした。」


 挨拶をして並んだリーダー格の女の子と、宗介は苦笑いで握手をした。


「うちわで仰がれんのどうかと思ってたから。とりあえずありがとな。」

「喜んで貰えて光栄です。」

 
 リーダー格の子は嬉しそうに微笑んだ。

  
「次は白王子親衛隊です。」


 うららが隊列を組んだ親衛隊の前に出て言った。


「白王子親衛隊は、引き続きうちわパタパタのファンコールで白王子を応援します。」

「白王子ー!。こっち見てー!笑ってー!。」

「白王子、今日もかっこいい!。憧れる!」

「白王子、やっぱりいつも美しい!。今日も決まってる!」


 5人の女の子にパタパタとうちわで騒がれて、美風は疲れ笑いをした。