学校から帰っても恋がやって来ないので宗介が恋の家へ行くと、恋の家のリビングには律が来ていた。
恋は座った律に甘えて抱かれるように座っていた。
「恋」
それを見て怒った宗介は、開口一番声を荒げた。
「何してるんだよ。向井とそんな風に座って。僕がそれをどう思うか考えなかったの?。ほんと腹立つ。お前の彼氏は誰?。ほら、さっさと離れる。」
「嫌。」
恋はく抑揚のない声でそう言うと、律の首に腕を回した。
「何のジョーク?。僕に打たれたいの?。言っとくけど加減しないよ。恋、そういう悪い冗談って嫌い。何のつもりだよ?。」
「宗介は嫌。律が良い。」
恋はそう言うと、律の首元にキスをした。
恋はまだ宗介に自分からキスをした事がなかった。
宗介は驚いて、恋をまじまじと見た。
「……って言ってるんで。ちょっと効きすぎちゃったけど。」
律が恋の肩に手を回しながら言った。
「上野さんは用済みですよ。もう恋は僕のが良いって言ってるんで。」
宗介は恋の光のない目に気付いて、ぞくっとした。
「恋に何をした?」
「別に。」
「言え。恋の様子がおかしい。」
「別にって言ってるでしょ。」
宗介は早足で歩いていって律の胸ぐらを掴んだ。
「言え。恋に何をした?」
「何も」
「ふだんの恋はこんなじゃない。やったのはお前しか居ない。もし言わないなら。」
人形のように喋らない恋を見ながら、宗介が律に凄んだ。
「言いません」
「……」
しばらくして、胸ぐらを掴まれたまま居た律はやっと参ったというポーズをした。
「媚薬ですよ。」
律はちょっと不貞た様に呟いた。
