幼なじみは狐の子。〜黒白王子の三角関係が始動する〜







 ソファの上で、律は冷静な表情で聞いた。

 
「上野さんの事、どう思いますか?」

「どうって?」

「好きですか嫌いですか。」

「好きだけど……」

「でしょうね。それから樋山さんの事どう思いますか?」

「好きだよ。」

「それも分かってました。それなら……」


 律はガラス瓶の蓋をパチっと音を立てて開けた。


「この薬品を飲んでください。」

「なに?それ。」

「良いから早く飲んで。あなたのためです。」

「……」

「味は良いですよ。怪しい薬品じゃありません。さっさと飲んで。お願いだから。」

「怪しいよ。」

「怪しくないですよ。」


 律は首を傾げた。それから、


「もし飲んでくれたら、恋の好きな小魚のキャットフード、1年分プレゼントしますよ。」


 と言った。


「怪しくないかな。」

「怪しくありません。」

「ふーん。」



 恋は試しにと瓶を取って、くんくんと緑色の液体の匂いを嗅いだ。

 
「さあ、飲んでください。」

「……」

 
 恋はついにガラス瓶を逆さにして薬品を口の中に入れた。


 薬品からはざらめ砂糖の様な甘い味がした。
 つんと眠気が来て、恋は意識を失った。……。