放課後。
宗介が委員会に出かけると、恋と2人になった美風は、今がチャンスとばかりに恋に話しかけた。
「新田さん」
美風が口を開いた。
「今度の日曜日、隣町の博物館に行かない?。文化記念館が併設されてる、出し物が科学的で面白い博物館。新しくプラネタリウムが出来たところなんだ。前前からキミと2人で行きたいって思ってた。」
「宗介が……」
「上野には言わないでね。僕が誘ってること。競り合う意味ではもっと上野に僕のこと言って欲しいけど、キミが誘ってること上野に言う時は一緒に行けない時なんだ。」
それから、
「新田さん、僕白王子だよ。」
と思いついていきなりふざけて言った。
「黒王子と並んで、学校のアイドル。親衛隊もファンクラブも持ってて、人気絶頂な方。」
「……」
「そんな白王子のお誘い、断ったら勿体ないよ。」
「ごめんね樋山くん……」
「こんだけ女子に人気なら、新田さんのハートも掴めそうなものなのに。悪いけど、僕はじゃあいいやって言わないよ」
それから声音を変えて、
「キミは狐さん。」
と恋を見下ろして優しい声で言った。
「駒井や田山や、そうそう新聞部の先輩達に、その秘密をバラされたくないでしょう?」
「そんな……」
「別にいいけど。僕はいつも黒白王子で盛り上がってる新聞が、今度は狐ネタでフィーバーしたって。ね?。」
クスクス笑う美風に、恋は俯いてうーん、と唸った。
