「黃崎。」
美風が口を開いた。
「今回だけ。新田さんの事を新聞に載せるのは、控えて貰えないかな?。」
「嫌です!」
「もし新聞に載せるのを辞めてくれたら、キミの事恩人って思うよ。」
美風が優しい声音で言った。
「キミのこと優しい女の子って思う。思わず好きになっちゃうかな。僕優しい人が好きだから。」
「美風様……」
「今回の事は新田さんが悪い。それは僕も認めるよ。ごめんね黃崎、キミに怪我なんかさせたくなかったんだけど。痛かったでしょう?。大丈夫だった?」
優しくそう尋ねられて、うららは態度を変え始めた。
「今回だけ。美風様がそう言うなら。別に痛くなんか……」
うららは慰めて欲しそうにくねくねした。
「痛かったのに痛くなかったって言うんだね。優しいね。分かってる、キミが優しいタイプだってこと。」
美風が言うと、うららは頬を染めた。
「……新聞部、やっぱり報道は辞めて。美風様が嫌がるなら。無理に騒ぎ立ててくれなくても構わない。もちろん新田恋はムカつくし嫌いだけど。」
「あら残念。良いネタなのに……。」
「良かった!」
美風はほっとした顔をすると、恋に笑いかけた。
それから美風は「サービス」と言うと、
「良い人だね、黃崎。」
と言って、うららの頭をぽんぽんと叩いてから恋にウインクした。
うららが何も言わず固まって棒立ちしていたので、恋がおそるおそるうららを見ると、目をきらきらさせて硬直したうららの鼻からはたらたらと鼻血が流れていた。
「……」
「新田さん、それじゃ行こうか。」
まだ取材をしたそうな新聞部と鼻血を吹いているうららを後に残し、恋と美風は教室へ向かった。
