放課後。
向こうにはグラウンド。
恋は、中庭の外側にある水道の前で、狐になろうかどうか迷っていた。
それには訳がある。
動物の姿で水を飲むと、人の姿の何倍もおいしいのだ。
恋は、狐の姿で飲む水が好物だった。
ここで変身してしまうと宗介と美風との約束を破ることになったが、恋は、人の姿では水道水を飲む気がしなかった。
少し考えてから、恋は、水道のタップを捻ると、ドロン!と音を立てて狐の姿になった。
と、そこへ通りすがったのは伊鞠と桂香。
伊鞠と桂香は中庭の外廊下を歩いているところだった。
最初に狐に気付いたのは桂香だった。
「……あっち」
「あら、あの狐。黒王子のペットよね。」
伊鞠と桂香は、走ってそこまでやって来た。
新聞部に気付いた狐の恋は、水道のタップをそのままに走リ出して逃げ出した。


