駅の裏手の件の甘味処、今日はお客さんがまばらで空いている。
隅のボックス席に座った恋達はめいめい注文した甘味を食べていた。
「そういや、恋、上野くんちとキャンプ行ったんだって?」
理央がガトーショコラのケーキを食べながら口を開いた。
「壁新聞で報道されてた。2泊3日の避暑地でのキャンプ。他人禁制懇意な内輪だけの内緒のってコピーだったけど。ねえ恋、どうだった?」
「うーん」
恋は言葉を濁した。
恋は、宗介の家の人とキャンプに行って、小狐の姿になって、もちろんその秘密を知っている宗介の両親と一緒に、散々駆け回って遊んだのだった。
「楽しかったよ。」
「だろうねえ。彼氏の家族と森でのキャンプ、絶対楽しいし。川遊びにカレーにキャンプファイヤーかあ。そういや恋は前に樋山くんとも行ってるよね。ねえ、恋、上野くんちの人達ってどんな感じ?。上野くんと似てる?」
明日香の言葉に、恋はうーん、と考えて頷いた。
「宗介のお母さんは、宗介とそっくりだよ。言動も似てる。」
「しっかり者のお母さんなの?。こう、恋を叱る上野くんみたいな感じの?」
「うん、かなり。」
「上野くんはめちゃくちゃ優秀だけど、お母さん達も頭いいのかな?。どっち似たんだろう。」
「どっちも頭は良いんじゃないかなあ。」
恋は、国立大学を出たという宗介の母親と、同じ大学の後輩の男前で爽やかな宗介の父親を思い浮かべた。
「恋、上野くんちは恋の家と家族ぐるみの仲だっていうけど、そんなに仲いいの?。キャンプ以外にも何かする?」
「1年に1回、ふた家族で写真屋さんで写真を撮るよ。」
「あ、そういうのって仲良さそう。良いね良いね。他には?」
「この間は宗介のうちで宗介のお母さんとお好み焼きを作って食べたかな。」
「良いなあ。黒王子んちのお好み焼きかあ。」
「当然だよ。恋人だもん、黒王子の公式の。恋は姫だもんね。」
明日香と理央の言葉に、恋は曖昧に笑った。フルーツの崩してある蜂蜜の塗られたパンケーキをナイフで切って、口に入れた。


