果たして、宗介が鞄を肩に掛けて持って講堂に入ると、入口で桂香の準備していたクラッカーがカラフルな紙吹雪を撒いて鳴り響いた。
『黒王子、入場です。』
新聞部による講堂の放送が鳴り響き、宗介は唖然とした顔で講堂を見回した。
『続いて白王子、入場です。』
続いて講堂に入ってきた美風も、周りの様子がおかしいのにすぐ気付いた。
顔をしかめて、振り返って伊鞠を探す。
伊鞠はもう既に壇上に上がって居た。
「これより、黒白王子の撮影会を行います。」
「「はああ?」」
マイクを手にした伊鞠の宣言に、宗介と美風は、唖然とした顔で壇上を見た。
宗介と美風の周りには、もう既に沢山の女の子で人だかりができていた。
「黒王子だ!凄い!黒王子は来ないかと思ってた。やった!」
「黒白王子様、写真撮らせてくださーい!」
「樋山くん一緒に写真撮って!お願い!」
「上野先輩笑ってください。カメラ越しに笑って貰った思い出にするんで。」
パシャパシャパシャと写真を撮られながら怒り笑いして仁王立ちしている2人を、恋と理央は舞台袖から見ていた。
宗介と美風が呆然としている間に、恋達は伊鞠に速やかに舞台袖に移動させられていた。
宗介と美風は、待っていた女の子達相手に怒るわけにもいかず、宗介は仏頂面、美風は怒り笑いで写真を撮られ始めた。
