幼なじみは狐の子。〜黒白王子の三角関係が始動する〜







 


 宗介は結局トイレから帰って来なかった。
 愛想を尽かしてそのまま帰ってしまたらしい。

 4時になると、黒白王子(白王子)の握手会は始まった。

 講堂の舞台に並んだ女の子の列に、真ん中にグッズの載ったテーブルを挟んで美風が一人一人握手をしながら、話をする。

「白王子、いつもかっこいいね。応援してるよ。」

「樋山くん先輩だよ。名前覚えてね。メアド置いとくよ。」

「樋山先輩、この手紙読んでください。お返事待ってます。」

 後輩らしき女の子の手紙を受け取りながら、美風は愛想よく「ありがとう」と言った。

 
「あ、そんなの買わない方がいいですよ」


 テーブルに並んでいる黒白王子グッズから白王子のペンケースを手に取った3年生に、美風が言った。


「これから回収予定。新聞部が勝手に売ってるんです。お金の無駄です。勿体ないですよ。」


 3年生は顔を赤らめて、「買わせてください」と言った。

 
「白王子最高。近くで見たほうがかっこよかった。」

「振る舞いも見た目も声も理想通り。私ファンクラブ会員なんだ。」

「きゃー触っちゃった!。もうこの手洗えない!」


 握手会は大盛況で、女の子のきゃいきゃい言う声が賑やかに響いた。


 
「樋山くんかっこいい。可愛い。」
 
「樋山くん可愛い。声が甘い!。」

「白王子好き過ぎる。溶けるー!」

「今回は黒王子は来てくれなかったね。」

「そこが黒王子の良いところだよ。」


 恋は舞台袖で、美風が恋に向かってニコ、と微笑むのを見た。