伊鞠の言っていた駅のビルに入っていくと、ホールの壁じゅうには色んな学校の壁新聞が等間隔に沢山貼られ、中は学生や数人の先生らしきスーツ姿の大人で賑わっていた。
恋達がキョロキョロしていると、会場の奥の方から伊鞠と桂香が歩いて来て手を振った。
「待ってたわ。私達の作品はこっち。」
伊鞠達についていくと、ホールのひときわ目立つ所に、西中新聞部の壁新聞が貼られていた。
「ほら、御覧なさい。黒白王子の三角関係!学園編!」
うんざりした顔の宗介と呆れ顔の美風の間で、恋はいつも通り黒白王子の事が盛大に書かれている新聞を目で追った。
『西中新聞部報道』
中学校生活には、いつでも甘酸っぱい1ページがある。
今回、西中新聞部は、学園の黒白王子投票で見事黒王子に輝いた上野くん(右)と白王子に勝ち上がった樋山くん(左)を取材した。黒白王子の華麗なる学園生活やいかに。………。
「中学生の部スクープ部門優勝!。私達高等部でOBだけど。もちろん加納・石巻ペアの記事よ。ま、こんなところよ。」
「最低。何がスクープ部門だ。」
「こんなのが賞取る事ってあるんですね。下らない。」
「樋山くんや上野くんの写真のお陰もあるんじゃない?。とにかくめでたいです。」
伊鞠が鼻高々で自慢すると理央が笑った。
「ああもうウンザリ。さっきから、新聞を見てた人達がチラチラこっちを見てる。きっと写真と同じ奴だって気づいてるんだ。何が黒王子だ。僕が書き立てられるのを喜んでるって思われなきゃ良いけど。華麗なる学園生活……普通に生活してるだけなのに。ほんとに反吐が出る」
「僕は目立ちたがりじゃ全然ないけど、そう思われるかも知れないな。自分の載ってる新聞見に来てるんだし。華麗なる学園生活ねえ……新田さんと居るあたりは楽しんで生活してるけど。さて、と、写真は写真。割り切りが大事。でも、それにしたって、白王子の白って一体なんなんだ?。腑に落ちない。」
宗介は忌々しそうに、自分の写真が隠れるようにスクープ部門受賞の置いてあった立てかけをずらした。


