リビングには人のいる気配がした。
テレビの前の大きなソファから小さな話し声が聞こえて、その声に、宗介は苛立った様な怒り笑いをした。
「誰か居るね。」
「……誰かっていうか。」
宗介は大股でソファに近づいていった。
そこに居たのは。
「あらいらっしゃい。上野くん。ここ、居心地いいわよ」
「……快適」
リモコンを回しながら我が家に居るがごとくべったりソファで寛いでいる、伊鞠と桂香だった。
「……駒井」
「あ、上野くん。今ジュース持ってくるよ。上野くんも座って座ってー」
ノート取りに行った2階から降りてきた理央が慌ただしくキッチンへ消えた。
「納得行かない。なんで僕たちの勉強会に加納先輩達が来るんだ。なんで駒井は新聞作る人達を呼ぶんだ。なんで最近先輩達が毎回さりげなく混ざってるんだ。」
「新しい記事を作りたいって言ったら、駒井さんが誘ってくれたのよ。三角関係のメンバーで勉強会するって言うから、今日もカメラ持ってきたの。準備バッチリよ。」
「……レギュラー」
「違いますよ。石巻先輩も加納先輩も、レギュラーじゃありません。そういう事言わないで貰えます?」
美風が言うと、桂香は膝の上の理央の家の猫を撫でた。
「クロが石巻先輩に懐いちゃって。びっくり。動物に好かれるのって良い人だって言うよ。クロってふだんは家族以外にはなつかないんだ。」
お盆に人数分のコップを運びながら、理央が言った。
「勉強会、加納先輩も石巻先輩も頭良いからさ。せっかくだから先生増やそうと思って。2人とも高等部の特待生だよ。あからさまに軍抜きで賢い方だよ。」
「頭良いのよ、私達。」
「……パー出来。」
宗介は伊鞠と桂香を疑いの眼差しでジロジロ見た。


