夕飯を食べ終えた夜になって、美風と恋は別荘のバルコニーに出た。
「不思議。前にもこういう風に、樋山くんと宗介と一緒に生活してた様な気がするんだ。」
恋が言った。
山向こうの民家の並びに、ぽつぽつと小さな明かりが付いている。
「言われてみれば、僕もそんな気がする。なんで上野まで一緒に居た事になってるのか分からないけど。なんでだろうね?」
風の吹くバルコニーの塀に腕を凭れさせながら、美風が言った。
「それから向井、向井も一緒に居た様な。」
「あ、分かる。でも違う部屋だったよね。」
そう言ってから恋が自分の言葉に対して驚いた顔をした。
「違う部屋って、どういう意味だろ?」
「同じ部屋に居たのかな、新田さんと僕と上野。」
「なんかそんな感じなのかな。変なの。自分で言ったのによく分からないけど。」
空を見上げると星が出ていて、山側のこの町は、恋達の住んでいる町よりも星が綺麗に見える気がした。
────不思議な冒険。
一度使えるようになった魔法は使えなくはならない。
「恋!」
部屋の中から宗介が呼んだ。
恋は返事をせず、ただ冒険の漠然としたイメージについて黙って考えていた。
「まあ良いよ、そんなに気にしなくて。僕たちは何か変わった夢でも見たんでしょう。」
美風が言った。
「新田さんと僕だけで暮らす夢の方が良い。もしその夢が現実なら一生、僕が新田さんを守ってあげるよ。夜になって、ちょっと涼しくなってきたね。夜風に当たると風邪ひくよ。そろそろ部屋に戻ろうか。」
恋は星空を見上げて、それから美風について別荘に戻った。
