リビングに戻ると、美風は電話をかけてピザを頼んだ。
電話は昔風な黒い電話で、レトロなお洒落を感じさせた。ダイニングの濃い色の一枚木のテーブルも、リビングの白いカバーのソファも、部屋にある物は大体雑誌に載っている感じに小洒落て美しかった。
ソファに座っている宗介の隣で、恋は何か心に引っ掛かるものを感じた。
前にもこういう風に、三人で共同生活をしていた様な気がしたのだ。
それがいつの事なのか、どこでなのか、恋には思い出せなかった。
変なデジャヴ、と恋は思って、そこでまたなぜかふと律の事を考えた。
「はーい、有難うございました。」
すぐにピザが届いて、美風は2人をダイニングに連れて行った。
これまたお洒落な赤い薬缶でお茶のお湯を沸かしながら、3人はピザを食べた。
「なんか別荘ってお金持ちになった気分になる」
恋が言った。
「うち裕福だもん。別荘4つ持ってるよ。マンションも持ってる。建物ごとうちの。マンションは9個あるよ。土地もかなりあるな。数えたことないけど。」
宗介が笑顔を作った。
「恋、言っとくけど金で結婚決めようとしたら許さないから。一生恨む。愛情は金では測らない。良い?。分かった?。」
「結婚は裕福度合で決める方が普通だ。」
美風が言った。
「待ち遠しいね、僕たちの結婚。上野が新田さんと付き合えるのも今のうちだ。僕んちは上野の家とは格が違うんだ。親戚も全員みんなリッチだよ。もっとも、僕の家ほどじゃないけど。」
「……」
「恋愛感情に金は関係ないだろ。それじゃ純愛じゃない。汚い話をしないで欲しいね。」
宗介が言った。
「とにかく、恋には僕のうちで充分。僕の家だって小さいとはいえ会社を経営してるから普通よりは余っ程財産あるし。恋、良い?。分かってるね?。」
「……」
「これは約束。返事。」
「ハイ」
三人は喋りながら、特に宗介と美風で計5枚の大きなピザを殆ど食べ尽くした。
