狐の恋は狐の律とじゃれあいながら小川の方へ向かった。
小川は小魚の泳いでいる流れの速い浅い川で、野菜を冷やすのにうってつけで冷たかった。
まず律が川に飛び込むと、続けて恋が飛び込んだ。
二匹の狐はじゃれ合いながら川を泳いで魚を捕まえた。
遅れて美風がやってきた。
美風はズボンの裾を捲くると裸足になって川に足を付けた。
「平和だね。」
美風が水の掛け合いをする二匹の狐を見て言った。
「狐の時もちゃんと人の言葉分かってるんだってね。なんとか言ってくれれば良いのに。僕1人で喋ってるような気になってくる。本当はそうじゃないって知ってるけど、変な感じ。狐になるなとまでは言わないけど。周りの人が僕を見たらおかしいと思うだろうね。」
恋が川の流れに巻き込まれて流されていくと、美風が追って来て、ふわりと恋を抱き上げた。
「危ないよ、新田さん。」
美風が恋を抱き上げながら言った。
「小川とはいえ流れ速いし、流されたら大変だよ。まったくもう、心配させて。川の流れに巻き込まれて、戻って来られなかったらどうするの?。ちゃんと考えなよ。浅い川とはいえ。今は僕が居るから良いけど。気を付けないと危ないよ。」
すると狐の律が、今度はふざけて流れの速いところ飛び込んだ。
美風が言った。
「狐は一匹だけでいい。これ重要。律はそのまま流れていってくれれば。帰ってこなくて丁度いいよ。新田さんと僕の2人でキャンプを楽しむから。バイバイ。頼むからそのまま流れろ。」
律はパシャリ!と音を上げて軽々と川から飛び出してくると、ドロン!と狐の姿から人の姿に変身した。
「泳いでたんですよ。恋、見てました?」


