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「そういえば、向井にアドレス教えろって言われた。」
写真の袋を脇へ置いて、宗介が呟いた。
「恋の関係で連絡取らなきゃいけないこともあるだろうから、教えてくれってさ。」
「ふーん。」
「まったく向井にせよ樋山にせよ、どうしてお前に付きまとうんだか。お前の良さを分かるのは僕だけで良いのにね。恋だってそう思うだろ?。あいつらは余計。お邪魔虫だ。居ない時どれだけスッキリした気分になるか。」
そう言いながら、宗介は机の上にあった恋のケータイを取り上げた。
「パスワード解除して、恋。」
宗介が笑顔で恋に言った。
「メールチェックするから。最近樋山と連絡取ってないか、気になってたんだよな。まあ向井もなんだけど。女子とのメールは寛恕、男とのメールのやりとりは厳禁。メールチェックは陰湿だって言う奴も居るけど、僕はそうは思わない。彼氏に隠し事は約束違反。内容によってはパチン食うからね。」
「取ってないよ」
「信じない。お前は信用されない事をし過ぎる。この間だって樋山と内緒で遊びに行ったの、僕にバレて怒られただろ。まったく、懲りないんだから。どういう考えで居るんだか。論より証拠。チェックするまで信じない。ほらさっさと。パスワード。」
恋が困った顔をしていると、丁度下の階から恋を呼ぶ声が聞こえた。
