幼なじみは狐の子。〜黒白王子の三角関係が始動する〜

 
 

 学校帰り、恋がチャイムを鳴らして宗介の家に寄ると、宗介はあまり機嫌のよくない顔で恋を出迎えた。

 
「お茶なら勝手に飲んで。コップはキッチン。」

 ぶっきらぼうにそう言って、宗介は黙りを決め込んでいる。

 宗介がそうなので恋はちょっと困った顔をして付けっぱなしだったテレビのテレビ広告を眺めた。


「宗介」

「恋」


 言い出した言葉が偶然重なった。


「なに」

「お前律って奴と2人で海行ったよね。」

「えっ」


 恋は驚いた顔で宗介を見た。
 宗介の顔は不機嫌そうだったが、そこまでは怒っていない様に見えたので、恋は先にと正直に言った。


「私、年下は好きにならないよ。そういう意味なら。宗介だけだよ。」

「知ってる。けど浮気は浮気だ。ルール違反。気付かなかったの?。ちょっとは気をつけろよな。」


 宗介ははあ、とため息をついた。


「中1と中2で、女子が年上で付き合うなんて変」

「全然変じゃないよ。むしろ年下の男を好きな奴って多いんだから。頼りない男と、頼れる女が普通は年上なの。まったく、人の心配も知らないで。いつもいつも、僕がそれをどう思うか考えなかったの?。僕は無益だからそんな事しないけど、お返しの報復をする奴はするしね。浮気ってそういうものだよ。裏切り。しょうがないんだから。」


 宗介はそう言うとテーブルの自分のお茶を一口飲んだ。


「今回はビンタで許してあげようか」


 宗介がそう言ったので恋はぞわんとして口を閉じた。


「ビンタ一発ね。」


 宗介がニコ、と笑ったので思わず目を瞑ると、宗介は、近づいてきて意外な事に座った恋の頬にチュ、と静かに軽くキスをした。


「僕も年下はノーカン。お前が全然その気ないの知ってる。お前を信じてる。良い?今回だけ。見逃してやるけど、今後ないように。」

「宗介」


 ほっとした顔をした恋に、宗介はクスクス笑った。